-
服部 広大
東京工業大学
A∞型超ケーラー多様体上の正則シンプレクティック構造
A∞型超ケーラー多様体は、Anderson-Kronheimer-LeBrunによって導入された
実4次元の非コンパクト完備超ケーラー多様体の族である.
この多様体の族は,可算無限個の変形のパラメーターをもつが,
その取り方を変えればリーマン計量の漸近挙動を変えられることがわかっている.
そのときに,複素構造を変えずにリーマン計量の漸近挙動を変形できることが
新たに分かったので,その結果について紹介する.
ま,、上記の証明の手法を応用すると
任意のA∞型超ケーラー多様体に代数多様体の構造が入ることもわかる.
-
入江 博
東京電機大学
Lagrangian Floer homology of a pair of real forms in
Hermitian symmetric spaces of compact type
単調なコンパクト型Hermite対称空間 M の二つの実形
L0, L1 に対して
各々の最小Maslov数が$3$以上という条件のもとで、
Z2係数の
Floerホモロジー群
HF(L0, L1, Z2)
を計算する.
特に,M が既約の場合にはY.-G.OhによるArnold-Givental不等式の一般化
が得られる.
時間が許せば,ハミルトン体積最小性問題への応用についても述べたい.
講演内容は,酒井高司氏(首都大),
田崎博之氏(筑波大)との共同研究に基づく。
-
Jeff Viaclovsky
University of Wisconsin
Yamabe invariants and limits of self-dual hyperbolic monopole
metrics
Consider the self-dual conformal classes on n # CP^2 discovered
by LeBrun. These depend upon a choice of n points in hyperbolic 3-space,
called monopole points. I will discuss the limiting behavior of various
constant scalar curvature metrics in these conformal classes as the points
approach each other, or as the points tend to the boundary of hyperbolic
space. There is a close connection to the orbifold Yamabe problem (which I
will show is not always solvable, in contrast with the case for compact
manifolds).
-
中田 文憲
東京理科大学
円柱上の積分変換とツイスター対応
R4 と R3 に関するLeBrun-Mason型
ツイスター対応について,
次元簡約によってそれらを関係づける方法について説明する.
この手法により, R^4 上の不定値自己双対共形構造を,
平坦な3次元ローレンツ空間上のモノポール方程式の解から構成できるが,
この解が本質的に二次元の円柱上の関数によって
パラメトライズされることを説明する.
また応用として, 3次元ローレンツ空間上の波動方程式の解が
円柱上の関数からのある自然な積分変換によって得られることがわかる.
-
本田 淳史
東京工業大学
空間型の外的平坦曲面と向き付けられた測地線の空間の幾何構造
O'Neill-Stielの定理により,
3次元球面内の完備な外的平坦曲面 (ガウス・クロネッカー曲率が
常に消える曲面)は全測地的なものに限ることが知られていが,
ある種の特異点を許容すると非自明な例が数多く存在する.本講演では,
それらの分類結果を紹介する.
鍵となる考えは,3次元球面のミニツイスター空間に付随する計量
を用いることである.
また,分類の応用として,双対性と焦面に関する結果も紹介する.
-
直川 耕祐
東京工業大学
3次元空間形内の外的平坦なMöbiusの帯について
3次元空間形内に与えられた結び目に対し,
これを含むような外的平坦な閉じた帯の位相型の分類について話す.
これは,Chicone-Kalton および Røgen の結果の
拡張・精密化となっている.
-
今城洋亮
京都大学
スペシャルラグランジュ部分多様体の貼り合せの一意性
ある仮定のもとで
スペシャルラグランジュ部分多様体の孤立特異点は貼り合せの方法により
解消されることをリーやジョイスは証明した.
リーやジョイスの定理は存在定理である.
本講演では,その一意性を証明する.
一意性の意味を正確に述べるためには
スペシャルラグランジュ部分多様体のモジュライ空間が必要である.
貼り合せはモジュライ空間の局所座標系を定義する.
-
中原 浩
東京工業大学
ラグランジアン平均曲率流における
self-similar solutionとtranslating solitonの例
Joyce-Lee-Tsuiの方法を拡張した方法
(Joyce-Lee-Tsuiの論文のTheorem Aの方程式を拡張した方程式を使い,
その方程式の解を求めるという方法)
によってラグランジアン平均曲率流における
self-similar solutionとtranslating solitonの例を構成する.
-
山本 光
東京工業大学
Toric Calabi-Yau coneにおけるspecial Lagrangian
及びLagrangian self-similar solutionの構成について
n次元複素空間Cn におけるspecial Lagrangian
(以下SLag) 及びLagrangian self-similar solution (以下Lag.sss)
の構成法をtoric coneに拡張することにより,
高さ1のトーリックダイアグラムから構成される
toric (almost) Calabi-Yau coneの中にSLag及びLag.sssを構成する.
また得られた主定理を複素3次元Calabi-Yauに適用することで
今までにないtopologyをもつ SLag及びLag.sssの例が構成できることを見る.
-
糟谷 久矢
東京大学
可解多様体とOeljeklaus-Toma多様体のVaisman計量
複素多様体上にVaisman計量と呼ばれる特殊なエルミート計量
が入るかどうかを調べる。
Vaisman計量をもつコンパクト複素多様体はある種の
トポロジカルな条件を満たすことが知られている。
その条件を用いて不変な複素構造をもつ可解リー群の
等質空間上でVaisman計量の存在、非存在を調べる。
特に、OeljeklausとTomaが整数論を用いて構成した新種の
複素多様体を可解リー群の等質空間として表示し、
Vaisman計量の存在、非存在について詳しく調べる。
-
松本佳彦
東京大学
The second metric variation of the total Q-curvature
in conformal geometry
Branson's $Q$-curvature of even-dimensional compact conformal manifolds
integrates to a global conformal invariant called the
total Q-curvature.
While it is topological in two dimensions and is essentially the Weyl
action in four dimensions, in the higher dimensional cases
its geometric meaning remains mysterious.
Graham and Hirachi have shown that the first metric variation of
the total Q-curvature coincides with the Fefferman-Graham
obstruction tensor.
In this talk, the second variational formula will be presented,
and it will be made explicit especially for conformally Einstein manifolds.
The positivity of the second variation will be discussed
in connection with the smallest eigenvalue of the Lichnerowicz Laplacian.
-
椋野純一
名古屋大学
非等質Lorentz 多様体の固有不連続かつ等長な群作用
E. CalabiとL. Markusは, de Sitter空間 O(n+1.1)/O(n,1)
に対して以下の現象を観察した:
Lorentz群 O(n+1.1) の無限部分群は,
自然な左作用でde Sitter空間へ固有不連続に作用しない.
ここで, de Sitter空間は完備正定曲率Lorentz多様体の構造を有することに注意する.
当講演では, 必ずしも等質的や一定曲率でないLorentz多様体のあるクラスへ
E. Calabi
とL. Markusの観察が一般化できることを述べる.
-
久本智之
東京大学
次数付き線形系の体積とMonge-Ampére体積
次数付き線形系の体積と呼ばれる代数的な不変量を,
Monge-Ampére作用素を用いて解析的に表示する。
特に偏極多様体のテスト配位が定める次数付き線形系の場合にこの公式を適用し,
Donaldson-二木不変量との関係を調べる.